こちらの記事に書いたように、 QNAP の TS-251+ が突然亡くなってしまいました。今回は本当に突然で、なんの予兆もなかったので、かなり焦りました。幸い、もう一台の NAS のほうにバックアップを残していたので、新しい筐体が来るまでは、そのデータを使ってなんとかしのぎました。
で、新しい筐体が届いたので、早速セットアップです。ということで、新しい NAS のセットアップをやったので、メモっておきます。
なお、新旧の機種は下記の通りになります。
- 旧NAS QNAP TS-251+
- 新NAS QNAP TS-262
ちなみに、外観はこんな感じです。
左の黒いのが TS-251+ 右の白いのが TS-262 です。後ろにランプだけ見えるのが稼働中の TS-231P です。こうみると TS-251+ のほこりがひどいなー。
新 NAS の選定
セットアップに先立ち、新しい機種選定について書いておきます。 TS-251+ の代替となる機種の選定です。基本的には、 TS-251+ と同程度の新しい機種にすればいいかなと思い調べてみると、 TS-262 が見つかりました。
どちらも CPU は Intel 系で、メモリは最初から 4GB あります。ただ、LANポートは、 2.5G になっているのはいいんですが、いかんせん 1 ポートです。まあ、これについては仕方ないかな?と思ってあきらめることにします。
ちなみに TS-216G とかも考えたんですが、 Virtualization Station が使えないこと、CPU が Arm 系のため docker コンテナがそのまま動かせるかどうか心配だったことから、やめました。
古い NAS からのデータ移行
QNAP の場合、HDD を差し替えるだけで、同じ QNAP の NAS 同士なら、古い NAS から新しい NAS の移行ができるとのことです(でも、これを書いたドキュメントがみあたらない・・・古い QTS のマニュアル内には記述があるんですけど現時点最新の QTS 5.2.2 とかだと該当する記述が見当たりません)。
とはいっても、下記の QNAP のサイトで移行が可能かどうかを調べることもできるので、機能的には提供されているようです。
ここで調べてみると、この 2 機種間での移行はサポートされているようです。
移行時にはなるべく最新のファームウェアにしておけと注意書きに書かれているのですが、幸い、 旧 NAS は少し前にファームウェアのアップデートをしていたので、
- TS-251+ QTS 5.2.1.2930
となっていました。
(追記)
ありました。QNAP の TS-262 のドキュメントのダウンロードページをひらいて、『TS-x62、TS-x64 ユーザーガイド』を見ると、この中に、 NAS の移行についての説明がありました。
QTS のマニュアルではなく個別の機種に対するマニュアルを探さないといけなかったんですね。
HDD の差し替え
新 NAS の電源を入れる前に、最初にすることとしては、旧 NAS の HDD を新 NAS に移動させる必要があります。
TS-262 の前面のカバーは本体側面にあるロックを下にずらして解除すれば、横方向にスライドして外せます。
が、この時本体を少し持ち上げるようにして、カバーの下も持って動かすようにしないとスムーズにスライドできなかったので、若干慣れが必要かもしれません。
前面カバーを開けてみると、スロットに入った HDD のトレーが見えます。
TS-251+ のトレーとは形状が違いますね。 TS-251+ はトレー下部のラッチを上に持ち上げるようにすると外れたのですが、 TS-262 は上のレバーを下に押し下げると外れました。両者のトレーを並べるとこんな感じです。
左の HDD が入ったものが TS-251+ のトレー、右の空のものが TS-262 のトレーです。
TS-262 のトレーに HDD を入れます。このトレーは、 HDD を入れる前に、サイドのカバーを外す必要があります。写真撮り損ねましたが、サイドカバーの端っこに『PULL』と表記もあります。プラスチック製で曲がるので、折れてしまうのではないかと思いドキドキしながらなんとか外しました。
外すとこんな感じですね。
トレーに HDD を入れて、裏側のネジを止めます。ネジは 3 本 でした。
ネジを止めたら、サイドパネルをはめます。
こんな感じで、ボッチがぴったりとはまるようになってます。左右とも取り付ければ OK です。
これで無事に HDD をトレーに装着できました。
次に、 HDD を本体に入れるのですが、昔の QNAP のユーザーマニュアルの記述からすると、移行の時は HDD の順番をそのままにしておいたほうが無難そうです。ですが、 TS-262 の HDD のスロット順が調べてもわかりません。 TS-251+ のほうは、いまから確認しようがないのですが、稼働中のもう一台の NAS(TS-231P)と同じだったと思うので、 NAS に向かって、左が 1 番、右が 2 番で間違いはないと思います。
仕方ないので、 TS-262 も同じ並びだろうとあてをつけて HDD を差し込んでおきます。
ちょっと怖いのですが、最悪の場合は再セットアップして、バックアップからデータを戻せば何とかなるだろうと思い、恐る恐る電源を入れます。
しばらくすると、 HDD を正しく認識したようで、 HDD のランプが点灯しました。やっぱり、 TS-251+ は本体の故障だったようです。
起動の確認
さて、電源をいれた直後は、 ping を打っても、応答がなかったのですが、しばらくしてから以前使っていた TS-251+ のホスト名でアクセスすると、応答があります!
ちゃんと認識しているみたいですね。
で、さっそくログインしてみます。移行ができていることを前提に、ユーザー名・パスワードは以前使っていたものをそのまま使います。2段階認証も以前設定したものをそのまま利用して、問題なくログインできました。
ログインすると、ドライブ側に記録されているファームウェアのバージョンとTS-262のシステム側のバージョンが異なるので、一致させろと、警告が出ています。TS-262 は 5.1.6.2722 だったようです。
なので、早速、ファームウェアのアップデートをしておきます。これで、 QTS 5.2.2 2950 で統一されました。
Windows から共有フォルダ等を見てみます。こちらも以前と同じユーザー名・パスワードで問題なくアクセスできます。
アプリケーションの再インストール
さて、とりあえず NAS としては共有フォルダとかが問題なく使えるようになったので一安心なのですが、いつくかのアプリケーションが入っていないようです。
試しに AppCenter を見てみるとこんな感じです。明らかに少ないですね。
ということで、必要と思われるものを再インストールしていきます。とりあえず思いつくものとして
- HBS 3 Hybrid Backup Sync
- セキュリティセンター
- QuFirewall
- Calm AV
- Container Station
- Virtualization Station
あたりをインストールしました。なお、上記のうち、インストール後に追加で設定作業を行ったものについて、以下にメモっておきます。
Hybrid Backup Sync 3
AppCenter からインストールすると、以前使っていた時の設定がそのまま復元されていました。
ただ、以前からだったのか、今回の再インストールのためかは不明なのですが、同じ同期ジョブが2つ存在しているところがあります。
同期ジョブの設定内容を確認すると、両者とも毎日実行になっているので、以前からの設定ではなく、今回の再インストールの影響ではないかと思われます。なので、片方のジョブは不要なので削除しておきます。
(追記)
これだけでは不十分だったようです。翌日確認してみると、 S3 へのバックアップは問題なかったんですが、同期に失敗していました。
エラーを見ると、
同期時の認証に失敗していたようです。QNAP の HBS 3 を立ち上げて、リモートサーバーを確認すると、
のように、認証エラーとなっています。ここもなぜか2つエントリーが作成されていますね。一度、編集を呼び出して、
パスワードを再入力して、テスト接続します。無事にテスト接続ができたことを確認したら、同期ジョブへ戻り、
『今すぐ同期』を押して、正しく同期できることを確認しておきます。これで、問題なさそうです。最終的には、リモートサーバーのエントリーも 1 つに整理しておきました。
セキュリティセンター
『セキュリティ診断』のスケジュールが利用不可になっていました。
『スキャンスケジュール』を開くと、
と表示されたので、画面の指示に従って、スケジュールを再適用することで有効にしました。
Container Station
起動していないアプリケーションを再起動しました。
アプリ以外の再セットアップ
アプリケーション以外に確認したものとしては、
- UPS:再接続したら、以前の設定がそのまま有効になっていました
- SSH:ちゃんと接続でき、問題ありません
- SSL:これも以前の設定がそのまま有効です
といったところでしょうか?
再設定したものとしては、 myQNAPcloud ですね。 myQNAPcloud は改めて設定しました。この際、
- AMIZclod agent
- myQNAPcloud Link
は無効にして、 DDNS のみを有効にしました。
DDNS 設定時、デバイス名をつける必要があるのですが、当初は TS-262 とわかるように適当につけました。が、設定後、デバイス名が DDNSのホスト名として使われることを思い出して、このままでは外部からアクセスすることができなくなってしまうため、修正する必要がでてきました。
QNAP のコントロールパネルで、myQNAPcloud を開いて、
デバイス名の横の編集アイコンをクリックすれば、デバイス名の変更ができます。
ですが、以前と同じ名前(旧 NAS で使っていたデバイス名)を使おうとすると、エラーになり変更することができません。
どうしたものかと思い、ブラウザで myQNAPcloud にログインしてみると
のように、新旧のデバイスが表示されます。ここで、旧デバイスのデバイス名の部分をクリックすると
のように、詳細画面が表示されます。ここで、右上のほうに『登録解除』とあるので、これをクリックして、旧 NAS のデバイス名を削除してみます。
この作業後、 QNAP のコントロールパネル側でデバイス名を変更してやれば、無事に以前と同じデバイス名を設定することができました。
まとめ
同じ QNAP 間であれば、 NAS の移行は非常に簡単でしたね。手間だったのは、 HDD の差し替えとか、新しい筐体を設置するときの電源や LAN ケーブルの取り回しとかでした。
ということで、こんな感じに無事に NAS 2台体制に戻りました。